ホステスの信念~私の場合~
ホステスの信念って、いつ、どうやって生まれるんでしょうか。
売れない時代の私は、ただお金を稼いで生活することしか考えていませんでした。信念なんて言葉は、頭の片隅にもなかったです。
でも、あるお客様との出来事がきっかけで、私の価値観は根底から変わりました。今日は、そのときのお話をさせてください。
売れないホステス時代は信念ゼロ
売れないころの私は、本当に生活することで精一杯でした。そして何より、人間不信でだれのことも信用していませんでした。
だから、信念とか、お客様のためにとか、そういう気持ちがないどころか、そんな発想すらなかったんです。
正直、お客様のこともきらいでした。いつも「何しに来てるんだろうこの人たち」と冷めた目で見ていました。
売上のことも気にしたことがなく、日当のことしか考えてなかったし、お客様が来ようが来なかろうが、マジでどうでもよかった。
むしろ、待機になると「仕事しなくていい、ラッキー」くらいに思っていました。
お客様が本当はどんな気持ちで飲みに来ているかなんて想像すらしたことがないし、楽しそうにしていると「何が楽しいんだろうバカじゃない?」と思う。
そんな中でホステスの信念なんかあったもんじゃなく、生まれるわけもなく。
あのころの私に「信念持ったほうがいいよ」とだれかが言ったとしても「は?」くらいで終わったと思います。
でも、あるお客様が自死したとき、思ったんです。「絶対に、自死を選ぶお客様を出したくない」と。
お客様の最期に気づけなかった後悔
そのお客様は、人生の最期に、私に会いに来てくださいました。
「やっぱり最後は、玲ちゃんに会わないとな!」といつもどおり楽しく飲んで、「玲ちゃんがんばれよ、応援してるからな!」といつもの笑顔で帰りました。
そして、その足で会社に戻り、首を吊りました。
私は何か不穏な空気に気づいていたのに、引き留めることをしませんでした。ホステス人生で、忘れられない最大の後悔です。
あのとき、ほんの一言でも「もう少し飲んで行ってよ」と言えていたら、何かが変わっていたかもしれない。
そう考えない日はありません。
あるお姉さんは、「そんなの、長年ホステスやってれば一度や二度あるわよ。気にしてたら身が持たないわよ」と言いました。
でも私にとっては、大きかったです。
自死という選択が『よくあること』でいいんだろうか、と。そうやって、いつか何も感じなくなってしまう人間になっていいんだろうか、と思いました。
後悔から生まれたホステスの信念
せめて私に会いに来てくれたお客様だけは、絶対にこんな最期にしたくない。
「絶対にお客様を生きてご自宅へ帰すんだ!」という強い信念を持つきっかけになりました。
この信念があったからこそ、お客様のちょっとした変化にも敏感になれていたと思います。
一瞬の表情の暗さ、ふとした目線、何気ない仕草。そういうサインを、絶対に見逃しませんでした。
こういう信念は、だれかに教えてもらって身につくものじゃないと思います。自分の中から、自然と生まれてくるものではないでしょうか。
コンサルの場でも、私はときどきこの話をします。
テクニックやノウハウは、いくらでもネットに落ちています。でも、お客様に対する向き合い方は、あまり載っていないんですよね。
もしあなたがまだ自分の信念に気づいていなくても、焦らなくていいと思います。
目の前のお客様と真剣に向き合っていれば、いつか必ず、あなたなりの信念が見えてくるはずです。
信念があるかないかで、同じ接客でも中身がまったく変わってきます。その差は、お客様には確実に伝わっているはずです。
言葉にするとカンタンに聞こえますが、実際にはとてもエネルギーのいることです。
それでも私は、あの後悔をくり返したくなかったので、この信念を持ち続けました。
まとめ
ホステスとしての信念は、だれかに与えられるものではなく、自分の経験の中から生まれてくるものだと思います。私の場合は、大きな後悔がきっかけでした。
でも、そこまで大きな出来事でなくても、日々の接客の中で「これだけは譲れない」と感じる瞬間が、きっとあなたにもあるはずです。
自分が何を大切にしたいのか、一度立ち止まって言葉にしてみましょう。紙に書き出してみるのもいいと思います。
その積み重ねが、あなただけの信念になっていきます。信念を持ったホステスは、お客様からの信頼のされ方が、根本的に違ってきますよ。

