売掛はだれの責任?飛ばれない事前対策

こんにちは。ホステス専門コンサルタントの秋好玲那です。→目次はこちら^^
結論から言うと、今も昔も、売掛はホステスの責任です。
昔は「風呂に沈める(=ソープに売り飛ばす)ぞ!」というセリフがあったくらい、ホステスの売掛責任は、重いのです。
いまは沈められるほどの事態も起きませんが、そのせいか、売掛に対して無防備なホステスさんが多いのも事実。
地域によって異なる面もありますが、ここでは担当制クラブを軸にお話しします。
この記事の目次
売掛はなぜ「担当ホステス」の責任なのか
あなたには、売掛の責任がありますか?あるとしても、ないとしても、
- なぜ、ホステスには『売掛』という制度があるのか
- なぜ、その責任をホステスが背負うことになるのか
- なぜお客様の飲み代を、自分が立て替えなければならないのか
- なぜ未払い金を回収できないと「風呂に沈めるぞ!」という事態にまで発展するのか
真剣に、考えてみてください。売掛責任がないホステスさんは、いまいちピンとこないとは思いますが、あなたにも上記の可能性があるということです。
『ホステス=個人事業主』だから
売上契約のホステスは、言い換えるなら請負契約。この意味、昼間のお仕事をした経験があるか、私のように法律が趣味という特異な人なら、分かると思います。
請負とは、当事者の一方(請負人)が相手方に対し仕事の完成を約し、他方(注文者)がこの仕事の完成に対する報酬を支払うことを約することを内容とする契約。特に営業として行われる作業又は労務の請負は商行為となる(商法502条5号)。
請負契約=結果に責任を負う
これが、売上ホステスの契約です。業務委託ではありません、請負契約です(業務委託は結果に責任を負いません)。
ホステスとお店の契約上での「仕事の完成」とは、契約で交わされた『結果』を意味します。たとえば、
- 同伴ノルマは月に5回、できなかったらペナルティがあります
- イベント時には確約2回、できなかったらペナルティがあります
- 打込30万、超えられなかったら保障からこれだけ差し引きます
- 打込30万を超えた場合、10万円毎に保障給がこれだけ上がります
- これらの結果を維持できなかった場合、○ヶ月で契約解除とします
- これらの結果を維持し、かつ上回った場合、翌年度の契約更新金はこれだけ払います
など、あなたの仕事の結果に対して、何かしらの取り決めが発生するものを言います。
その売上が未払いとなった場合、お店からすれば「仕事が未完成である」ため、あなたに責任が発生します。これが、ホステスの売掛責任です。
個人事業主=法的責任が無限だから
法律上、個人事業主の債務責任は無制限です。
>個人事業主としての無限責任とはどのようなものを言うのですか。
生じた債務の全額を弁済する責任を負うというものです。
正確には『契約書に依存』します。つまり、契約書の中に「私はここまでしか責任を負いませんよ」という記載がなければ、あなたの責任は無限です。
最悪の場合は、全財産投げ打って、それこそ体売ってでも、債務弁済しなくてはなりません。
破産するという手はありますが、「風呂に沈めるぞ」的発言をするようなお店だったら、そんなの通用しないでしょう。
「こんなに重い責任を負ってホステスをやっている」という自覚を持っているホステスが、世の中にどれくらいいるでしょうか。
飛ばれるホステスは、のんきに「払ってくれるだろう」と期待値で考えていて、自分の負っている責任の重さに無自覚です。
売掛を飛ばれたらどうする?
いずれにしても、今も昔も、売掛責任を負うホステスにとって一番の不安は、
- 売掛を飛ばれないか
- 売掛を飛ばれたらどうするか
この2つですよね。
売掛を飛ばれたら回収できるの?
私が現場で見てきたこと、そしてコンサルで見聞きしてきたことから踏まえて言いますと。
売掛は、飛ばれたら終わりです。
これはもう、売掛責任を背負った以上、肝に銘じるしかないです。大企業のお偉いさんだろうが、会社の経費だろうが、未払いになってしまったら終わりです。
人格優れた人に見えようが、財閥であろうが、払わない人は払わないし、払えないときは払えません。これを重々頭に叩き込んで、読み進めてください。
売掛を飛ばす人の心理を踏まえてアドバイス
コンサルでも、未払いを立て替えた後に相談されることがありますが、この時点で私のアドバイスは3つしかありません。
- あきらめる
- 「いつか払ってくれればいい」と年単位で気長に連絡を取り続ける
- 段階を踏んで法的手段に出る
大抵のホステスさんは、1か2を選びますが、私は3をおすすめします。なぜなら、飛ぶ人の9割は、よそで飲んでいるからです。
お金がないわけでも、忙しいわけでもなく、「こいつは払わなくてもイケる」と判断されただけ。
そんなヤツは、気長に待ったところで払わないし、あきらめたらまた別のホステスで同じことをするだけです。
事実、「内容証明送りますよー」とか、「弁護士入れないといけなくなりますよー」と言ったら、すぐ払います。
カネあるじゃん
( '∇')ウフフフフ
私が1をすすめるときは、情報が途絶えているとき。そんな人に売掛させたホステスの自業自得。
2をすすめるときは、本当にお客様が突発的な失業や災害、病気などで止むを得ない事情を抱えてしまったとき。不可抗力ですね。
それ以外は、段階をきちんと踏んで、ゆっくり追い詰めれば、実際に訴訟なんかするまでもなく、ほぼ回収できます。
売掛を回収できないホステスの特徴
売掛を回収できないのは、
- あきらめる
- 「いつか払ってくれればいい」と年単位で気長に連絡を取り続ける
- 元々情報がなくどうしようもない状況
というホステスさんです。
売掛回収はしたいけど、角を立てたくない、最終的にどこまで待つのかも決められず相手任せ、周りの意見に逆らう勇気もない。結果、未回収のまま終わります。
コンサルでも、回収不能になったのは、この3つのケースだけです。稀に、払う気でいるお客様に余計なことを言い、激怒させ、支払い拒否される子がいます。

飛ばれないためにホステスはどうすべきか
上記のように、飛ばれてからでは選択肢はほとんどありません。もう「あきらめる」か「法的措置を検討する」かの2択になります。
これを避けるためには、何も問題がないときから準備をしていないといけないのです。
売掛に対するマイルールを作る
お店のルールとは別に、あなた自身のマイルールを作りましょう。
抽象的に「真面目そうだから」とかいう『何となく』な感覚で売掛をさせるのは、ホステスくらいです。
いいですか。売掛って「お客様にお金を貸す」という行為と同義なんですよ。「なんとなく返してくれそうだから」とかで、何十万も何百万もお金貸しますか?
ましてや、名前も会社も知らない、会社が実在するかも知らない、交流関係も聞いたことがない、完全マンツーマンの相手に「いい人そうだから」とかで貸しますか?
その人のために、あなたは無収入になるかもしれないし、売掛の金額が太く、働いてるお店が悪ければ、風俗直行です。避けたいですよね?では、具体的に、
- どんな人にどれだけの売掛を許すか
- どう身元確認をするか
- どう回収するか
を考えてください。そして、それを実行できるように、日々の接客の中で情報を集め、自分の『お金に対する価値観』をタネ蒔きしておきましょう。
売掛を裏切れない強固な関係性を築く
売掛を踏み倒すのは、互いの信頼関係を踏みにじる行為、ですよね。日ごろから確実なコミュニケーションを取っておかないと、本当に痛い目に遭うのは自分です。
売上が下がる、嫌われる、怒られるなどいろいろ思うでしょうが、時にはきっぱり断ることも大事です。
そして、何よりも「こいつだけは絶対に裏切れない」というくらいに、お客様と絶大な信頼を築き上げる努力をすること。
売掛の負担というハイリスクを背負っているホステスには、一番売らなければならないものがあります。
それは、恩。
心理学に基づく方法で、人は恩を受けると返さねば、と思うのです。
さらに、信頼関係がきちんと構築されていれば、本来男性はとても義理堅い生き物ですから、仇で返すようなことはしません。
本来義理堅いはずの人がそういうことをするということは、あなた自身にナメられる問題があるということです。ここを自覚して、改善しましょう。
売掛を1度も飛ばれなかった私がやっていたこと
私は売掛を飛ばれたことがありません。
でもそれは「売れっ子だから」とか「玲那さんだから」とかいう、得体の知れない要因ではありません。
飛ばれなかったのは、飛ばれないように、飛ばせないように、何重にもリスクマネージメントをしていたからです。たとえば、
これは本当に一部ですが、
- 情報をできるだけ取る
- 関係性を公にする
- 恩を売る
これだけで売掛を飛ばれる可能性は10%以下まで下げられます。

あとは、キャラ的に、


とか、



という価値観を、ことある毎に会話に盛り込んでいました。話すだけでなく、法律の勉強が好きということもあちこちで話していたので、真実味があったと思います。
こういう、小さな積み重ねも大事です。
いろいろ書きましたが、まずはマイルールを具体的に持ちましょう。
売掛は、時間がたてばたつほど、回収がむずかしくなります。
売掛で困っている、売掛でわからないことがあるなど、悩みがあるときは、迷わずすぐにご相談くださいね。
※ご相談については、公式LINEのメニューからお問い合わせいただけます。お気軽にお問い合わせください^^
ホステスの心得