売れっ子ホステスが実際に出したお中元添状を図解(例文あり)

こんにちは。ホステス専門アドバイザー秋好玲那です。→目次はこちら^^
本日のテーマは「太客に出すお中元の添状」。
「いままでお中元なんて出したことがない」というホステスさんもいると思いますが、大丈夫です。
売れっ子ホステスが実際に書いた文章を基に、画像入りで解説してまいります。添削後の例文も掲載したので、応用して使ってくださいね。
構成をしっかり叩き込んでいればお歳暮の添状も書けるようになるので、この通りに実践してください^^
この記事の目次
太客や常連客に送るお中元添状
まずはお中元を出す目的と、お手紙に書く文章のゴール設定を明確にしましょう。
ゴール設定ができていないと、文章をどう書いていいのかわからなくなってしまいます。
私も最初は思いつきで何となく書いていたので、ほぼ100%の確率でクソみたいな文章になっていました。
その『クソみたいな文章』は、お客様に響くことなく、シュレッダー行きになります。だから、出口を決めることが重要です。
何より、「お中元を機にまた来てもらいたい」という気持ちで出すのではなく、
- いつもかわいがってくれてありがとう
- いつも応援してくれてありがとう
- いつも味方でいてくれてありがとう
といった感謝の気持ちでお中元を出すことが大切です。
つまり、文章のゴールは「受け取ったらその月に来てね」ではなく、「いつもありがとう、これからもよろしくね」という感謝の気持ちを伝えること。
それを絶対に忘れないようにしてください。
「ゴール設定ってなに?」となるホステスさんは、『ホステスが目指すべき「文章のゴールと目的」とは』を読んでくださいね。

ゴール設定のない文章とゴール設定されたお手紙を比較
では、具体的にどんな内容を書けばいいのでしょうか。どんな気持ちを伝えたら、お客様に響きやすいのでしょうか。
たとえば、あなたがお中元を受け取る側だったとして、よく通っているホストクラブのホストから、
いつもかわいがってくれてありがとう!いつも笑わせてもらってます。会話上手で一緒にいて楽しいです。これからもよろしくね!
という内容が届いたらどうでしょうか。
もちろん、関係性があって人柄がわかっていれば、贈り物やお手紙をもらっただけで十分嬉しいと思います。その気持ち自体がありがたいですよね。
でも、こんなふうに具体的に書いてくれていたらどうでしょうか。
お客様に対する姿勢、いつも尊敬してます。でもがんばりすぎる〇〇さんだから、ちょっと心配です。
思い通りにならないことがいっぱいあると思うけど、絶対に〇〇さんの気持ちは伝わると信じてるよ。心が疲れたら、またいつでも連絡してね。
どうですか?分かってくれてる、ちゃんと見てくれてるんだ、って感じませんか?間違っても「だれにでも同じ文章を送っている」とは思いませんよね。
こんなふうに、
- 分かってくれてるんだ
- ちゃんと見てくれてるんだ
を感じてもらうために文章をつくると、お客様に響きやすくなります。
売れっ子ホステスが実際に書いた添状
では、実際に売れっ子ホステスが書いた実際の文章を見てみましょう。レターセットは、A5縦書きです。
実際のレターセットを知りたい方は、『【オススメ!】お礼状などに使えるレターセット』を参考にしてくださいね。

今回の送り主となるホステスは、はんなり美人系で上品な30代前半の女性です。
送り先となるお客様は、かなりご高齢で長年銀座で飲み歩いてきた、銀座にとても思いのある方。伝えたいことは、
あなたが愛している銀座を私も愛しているし、この街で出会ったあなたが私に期待してくださる気持ちに応えたいと思ってます
という思いです。レイアウト、内容、表現、言葉遣いなど、あなたがこの手紙を添削するつもりで、考えながら読んでみてくださいね。
添状の原文画像(レイアウト)
■■はお客様のお名前、▲▲は店名です(画像をクリックすると大きな画面で見れます)。
銀座の方々は、こういう改行多用のお手紙が大好きなようです。銀座で馴染みの印刷屋さんの例文も、こういう改行で例文を出してきます。
添状の原文章(内容、表現、言葉遣いなど)
画像だと、文章そのものが見づらいかもしれないので、横書きになりますが、文章のみを書き出してみましょう(レイアウトに近づけています)。
拝啓 向暑の候 ■■さまにおかれましてはますます
ご隆昌のこととお慶び
申し上げます。日々が過ぎていくのを、
一段と感じますこの頃
瞬く間に夏となりました。
人知れず
心穏やかでいられない時も
ありながら
今年の半分を無事
終えることができましたのも
■■さんの
ご温情あってのことと
深く感謝いたしております。
いつも楽しくお席を
盛り上げてくださる中、
ふとした一言をいただき
しっかりと見てくださって
いるのだと心強く思う時も
ございました。これからも志高く、
銀座の道に精進を
重ねることで
わずかでもお返しとなるよう
歩んでまいる所存です
今後ともご指導賜りますよう
お願い申し上げます末筆ではございますが
この暑い中も■■さまが
お健やかに過ごされますよう
切に祈念いたしております。敬具
平成三十年七月吉日
クラブ▲▲ 秋好玲那
連絡先 000-0000-0000■■■■様
スマホだと見やすいかもしれませんが、ちょっと長く感じませんか?
売れっ子ホステスが実際に出した添状(添削結果)
では、私の添削を解説します。まずは全体に言えることは、
- 句読点のルールが定まってない(ついたりつかなかったりバラバラ)
- 敬称が定まってない(「さま」と「さん」がある)
- お手紙のマナーから外れている
の3点です。スマホ画面で見ると、
これからも志高く、
銀座の道に精進を
重ねることで
わずかでもお返しとなるよう
歩んでまいる所存です
という改行は、非常に読みやすいと思いますが、お手紙としてはNGです。
なぜなら、お手紙(信書)には、『余計なスペースを作ってはいけない』というルールがあるからです。
余計なスペースがあると、文字を書き足して改ざんできてしまいますよね。
そうすると、もとの文章がわからなくなり、誤解が生じてトラブルになる可能性があるからです。だから、お手紙を書くときには、
- なるべく空白をつくらないようにする
- その上で、文字詰まりに見えないようにする
という注意を払いながら、文章をつくりましょう。
添状原文のレイアウトをお手紙マナーに合わせて整える
では、文章自体をいじる前に、まずはマナーに則って、整理します(画像をクリックすると大きな画面で見れます)
3枚だったお手紙が、2枚に収まりました。ここから細かく見ていきます。
ホステスさんのキャラと「目的」に沿って添削解説
では改めてもう一度、重要なポイントをおさらいします。送り主となるホステスは、はんなり美人系で上品な30代前半の女性です。
送り先となるお客様は、かなりご高齢で長年銀座で飲み歩いてきた、銀座にとても思いのある方。伝えたいことは、
あなたが愛している銀座を私も愛しているし、この街で出会ったあなたが私に期待してくださる気持ちに応えたいと思ってます
という思いです。これに従って、添削していきます。画像内にある赤文字が修正箇所です(画像をクリックすると大きな画面で見れます)。
時候の挨拶のあとに「スペース」はNG
まず、季節の挨拶のあとがスペースになっているのは文章としておかしいので、読点を入れます。
一文は「30文字2点1丸」を目安に整える
マナーに則ってレイアウトを変えたことで、一番目立ったのは本文部分。「。」までの一文を赤と青の線で引いてみると、長さがよく分かります。
読点がない上に、なんだか説明っぽい表現ですね。活字に起こすと、
日々が過ぎていくのを、一段と感じますこの頃瞬く間に夏となりました。人知れず心穏やかでいられない時もありながら今年の半分を無事終えることができましたのも■■さんのご温情あってのことと深く感謝いたしております。いつも楽しくお席を盛り上げてくださる中、ふとした一言をいただきしっかりと見てくださっているのだと心強く思う時もございました。これからも志高く、銀座の道に精進を重ねることでわずかでもお返しとなるよう歩んでまいる所存です今後ともご指導賜りますようお願い申し上げます。
となります。ちょっと読みづらいと思いませんか?内容が頭に入ってこない感じがします。
内容を変えずにリライトする
ということで、土台は残したまま、リライトしてみました。まずは一文ずつ見てみましょう。
日々が過ぎていくのを、一段と感じますこの頃瞬く間に夏となりました。
↓
月日の流れを一段と早く感じるこのごろ、■■さまとご縁をいただいて五度目の夏となりました。
人知れず心穏やかでいられない時もありながら今年の半分を無事終えることができましたのも■■さんのご温情あってのことと深く感謝いたしております。
↓
今年も無事にこの季節を迎えられますのも、■■さまのご温情あってのことと深く感謝致しております。
いつも楽しくお席を盛り上げてくださる中、ふとした一言をいただきしっかりと見てくださっているのだと心強く思う時もございました。
↓
心穏やかとはいかぬ日もある中、■■さまのふとした一言に何度励みを頂戴したかわかりません。
これからも志高く、銀座の道に精進を重ねることでわずかでもお返しとなるよう歩んでまいる所存です
↓
あたたかく見守ってくださる■■さまのお気持ちに添えるよう、これからも志高く銀座の道に精進してまいりたく存じます。
では、これを段落としてまとめて比べてみます。
日々が過ぎていくのを、一段と感じますこの頃瞬く間に夏となりました。人知れず心穏やかでいられない時もありながら今年の半分を無事終えることができましたのも■■さんのご温情あってのことと深く感謝いたしております。いつも楽しくお席を盛り上げてくださる中、ふとした一言をいただきしっかりと見てくださっているのだと心強く思う時もございました。これからも志高く、銀座の道に精進を重ねることでわずかでもお返しとなるよう歩んでまいる所存です今後ともご指導賜りますようお願い申し上げます
↓↓↓
月日の流れを一段と早く感じるこのごろ、■■さまとご縁をいただいて五度目の夏となりました。今年も無事にこの季節を迎えられますのも、■■さまのご温情あってのことと深く感謝致しております。心穏やかとはいかぬ日もある中、■■さまのふとした一言に何度励みを頂戴したかわかりません。あたたかく見守ってくださる■■さまのお気持ちに添えるよう、これからも志高く銀座の道に精進してまいりたく存じます。今後ともご指導賜りますようお願い申し上げます。
ちょっと活字ではわかりづらいですね。ちょうど見切れてしまうのですが、見やすいので画像で比べてみましょう。
お客様のお名前と、読点を増やしてみました。
女性らしくはんなり、を文字で表現する
下図赤丸の部分は、ひらがなにしたほうがいいところ。ひらがなにすることで女性らしいやわらかさが出てはんなり感が増します。
また、漢字が多いと読みづらさが増すので、『ひらがな7割/漢字2割/カタカナ1割』を目安に、ひらがなを増やします。
添削後、実際に送った添状(全体例文あり)
では、実際にお客様へ送った添状を見てみましょう。
お客様もずいぶん喜んでくださったとのことで、私も嬉しい限り♪活字に起こすと、以下になります。
※システムの都合上、結語の位置が本来と異なりますので、実際に作る際は、レイアウト画像をお手本にしてくださいね。
拝啓 向暑の候、■■さまにおかれましてはますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。
月日の流れを一段と早く感じるこのごろ、■■さまとご縁をいただいて五度目の夏となりました。今年も無事にこの季節を迎えられますのも、■■さまのご温情あってのことと深く感謝致しております。心穏やかとはいかぬ日もある中、■■さまのふとした一言に何度励みを頂戴したかわかりません。あたたかく見守ってくださる■■さまのお気持ちに添えるよう、これからも志高く銀座の道に精進してまいりたく存じます。今後ともご指導賜りますようお願い申し上げます。
末筆ではございますが、日毎猛暑となる時節、何卒お健やかに過ごされますよう切に祈念致しております。 敬具
平成三十年七月吉日
クラブ▲▲ 秋好玲那
連絡先 000-0000-0000■■■■様
この例文は使っていただいてOKです。もうひとつ段落を作りたい場合は、「心穏やかとはいかぬ~」で改行するといいですね。
【注意!】他のホステスさんと丸かぶりしないために
今回の文章を使いたい場合は、他のホステスさんとかぶる点を踏まえると、少し書き換えて応用したほうがいいです。
特に銀座ホステスさん、注意してください。実際に出したのも銀座ホステスさんだし、受け取ったのも銀座で飲んでる方です。
不安な方は「伝えたいこと」の部分を変えるといいですね。たとえば、
古き良き銀座の歴史を継承していけるよう、一意専心に努めてまいります。
銀座という名に恥じぬよう、日々研磨してまいりたく存じます。
などでもいいと思います。
添状文章を見直す際は「チェックポイント」を絞り込む
今回私が添削した際に注視したポイントは、
- イメージと文章を合致させる
- お客様の価値観を盛り込む
この2つです。
イメージと文章を合致させる
今回差出人となるのは、
- はんなり美人系
- 銀座ホステス
です。この「はんなり美人系」と添状の文章がかけ離れていたら、お客様が驚いて引いてしまうからです。たとえば、
■■さまがお傍にいてくださることを心強く思います。
という文章を書くと、「え?色恋系だったっけ?」と違和感が生じてびっくりします。お客様が抱いている印象と文章を合致させることで、
- この子を選んでよかった
- 俺の目に狂いはなかった
と感じていただくことがとても重要になります。
お客様の価値観を盛り込む
女性は過去に意識を向けがちですが、男性は未来に目を向ける傾向にあります。
だから、「今日までありがとう、これからもよろしくね」だけでは、なかなか響きません。
今日までありがとう、これからはこんなふうにがんばるから見守って(応援して)ね
この終わり方が重要なのです。たとえば、
あたたかく見守ってくださる■■さまのお気持ちに添えるよう、これからも志高く銀座の道に精進してまいりたく存じます。今後ともご指導賜りますようお願い申し上げます。
上記の文章は、
- あなたが銀座を大切に思う気持ちに寄り添いたい
- あなたが愛する銀座を継いでいけるようにがんばりたい
- だから、これからもいろいろ教えてほしい
ということを書いてあります。
ということが書いてあります。『私が銀座でがんばりたいから』ではなく、『あなたが大切にしているものだから、私も同じように大切にしたい』。
この視点で文章を作ると、お客様に響くようになりますよ。せっかく出すのだから、お客様が喜んでくださる添状にしたいですよね。
そのためにも、日ごろからお客様が何を大切にしているのかをリサーチしておきましょう。
ホステスの心得