常連客を激怒させた私の失敗談
ホステスが接客改善というと「もっと話術を磨かなければ」「もっと気配りしなければ」のように、足し算のイメージを持ってませんか?
でも実は、テクニックを増やすことより『お客様を見る視点を変えること』のほうが接客の質を左右するんです。
話せるネタが増えても、そもそも見当違いの方向に使うと意味がないですよね。むしろ、変に器用になった分、判断が雑になることもあります。
小手先のテクニックを追いかけるより、まず『何を見るか』を変えるほうが近道です。
それに気づくまで、私は数えきれないほどの失敗をしてきました。強烈に印象に残っているのは、あるお客様を激怒させてしまったこと。
今日はその出来事から、接客改善について感じたことを、正直にお話ししますね。
いつもどおりの接客が地雷に
そのお客様は自虐好きで、いじられることを楽しむ方でした。
私たちもそれをわかっていたし、いじらずにいると「ちゃんといじってよー」と笑いながら言われるので、いつも取りこぼさないようにいじっていたんです。
あるとき、そのお客様が部下を連れてきたんですね。まだ20代前半くらいの若い男性でした。
飲み慣れていないのが一目でわかるくらい、少し緊張していた様子でした。
そのとき、私は、いつもどおりの接客をしたんです。お客様が自虐を言い、私がいじる。お客様も、いつもどおり笑っていました。お連れ様も笑っていた。
ところが、私が化粧室へ行っている間に帰ってしまったようで、空席を見て驚きました。一瞬、何が起きたのかわかりませんでした。
どうしたんだろうと思ってお店を出て、エレベーターホールに近づくと、かすかに聞こえるお客様の怒鳴り声。私は踵を返してお店に戻りました。
しばらく店には行きたくない
お店に戻った私は、そのまま裏へ行って「どうしたの?何かあったの?」とお客様にメールをしました。
そうすると、お客様からすぐに返事が来て「ひとりのときはいくらいじってくれてもいいけど、部下の前では俺を立ててほしかった」という内容でした。
私は、いつもどおりに接客した。それが最悪だったんです。部下の前では立ててほしかったというお客様の要望を汲み取れませんでした。
すぐに電話をして謝罪し、翌朝に詫状と菓子折りを送りました。するとその日のうちにお客様からメールが来て、こう書いてありました。
「手紙まで丁寧にありがとう。玲ちゃんの気持ちは伝わったし、また行くよ。でも、いまは気持ちが収まらないから行きたくない」
毎週来る常連様だったのに、それから2ヶ月ほど足が遠のいてしまいました。ママのお客様だったので、とても申し訳なかったです。
視点ひとつで変わる接客改善
クラブで長く働いていると、こういう『お客様の顔を潰してしまった』という失敗は、一度は経験すると思います。
常連様に離れられるというのは、売上以上に、信頼を裏切ってしまったことのほうが重いんですよね。
部下や取引先の前で恥をかかせてしまうと、お客様自身のプライドに関わる分、通常の失敗より根が深くなります。
ひとりのときなら成立していたことも、お連れ様の前では地雷になり得る。
クラブに来られる方は、多かれ少なかれ『立てられたい』という気持ちを持っています。求められる立て方は、その場によって変わる。
だからこそ、いつも同じ接客で大丈夫なのか、そうでないのかを、日々見極める必要があると思います。
たとえば同じ『褒める』という接客をするにしても、いつもは盛り上げて「すごい!」と言ってほしいタイプの人も、今日は違うかもしれない。
それを見極めるのは、ホステスに必要な気配りのひとつでもあると思います。
『お客様の目的』はどこで見る?
観察するといっても、むずかしく考える必要はありません。たとえば、
- だれと来たか
- どんな表情で入ってきたか
- 会話の中で何の話を振ってくるか
などを見ているだけでも、ある程度の見当はつくんですよね。特別なことをしているわけじゃなくて、ただ意識を向ける先を変えただけなんです。
ひとりで来て労ってほしいお客様には寄り添う言葉が響くし、だれかの前で立てられたいお客様には、周りに聞こえる形で立てることが大事だったりする。
同じ『褒める』でも、お客様が求めているものによって、正解は変わります。これは、話術の引き出しの多さとは別の能力だと思うんです。
観察して、目的を仮説立てて、その場で接客に反映する。
この一連の流れを意識できるかどうかで、同じ経験年数でも接客の質に差が出てくるんじゃないでしょうか。
派手なテクニックほど注目されがちですが、土台になっているのは、こういう地味な観察力です。
地味だからこそ、ちゃんと意識しないと見過ごしてしまうものでもあると思います。
まとめ
失敗は、改善のチャンス。だれだって失敗はしたくないですが、そこから何を拾えるかで、その後の接客の質はまったく変わってきます。
接客改善に必要なのはテクニックの数ではなく、お客様が今日何を求めて来店したのかを観察する姿勢です。
あなたの昨日の失敗は、今日どんな接客改善につながりますか?
