ホステス人生で一番落ち込んだ出来事

こんにちは。ホステス専門コンサルタントの秋好玲那です。→目次はこちら^^
今日は、私のホステス人生で一番落ち込んだ出来事について、お話ししたいと思います。いろんなことがありましたが、私自身の人生で最も落ち込んだと言っても過言ではないほどの出来事でした(私にとっては)。
同じ(似たような)ことを言われた経験があるホステスさんはもちろん、軽はずみにこうした発言をするホステスさんにも、何かを感じ取っていただければと思います。
特にチーママ、ママ、オーナーママなど、上に立つ側にいる人には、ぜひご一読いただきたいです。ながーくなりましたけど、ぜひ(笑)
この記事の目次
私がお店を辞めるきっかけになったある出来事
私はナンバーワンだったお店(以下、S店とします)を、ある風評被害を機に辞めました。その噂を流したのは、一緒に働いていたお店のママ(雇われ)です。
そのママ(以下、Aママとします)とは、私が23歳のときに出会いました。当時は別のママがいて、Aママは絶対エースとしてナンバーワンの座にいました。
Aママと私はタイプがよく似ていて、好かれる客層も似通っていました。そのためお席でも一緒になることが多く、Aママが抜けた席では私が、私が抜けた席ではAママが、といった具合に、互いにフォローし合っていました。
Aママがママに就任し、私がナンバーワンになり。開業20年を超えるそのお店は、長年のお客様からも「ゴールドメンバー」「安泰」と評価をいただく状態になりました。そんな矢先、ある小さなトラブルが起きました。
Hさん激怒!男がいるじゃないか!事件
当時、大常連のHさんというお客様がいました。
このHさん、実は元々私のお客様で、18歳のときからずっと懇意にしていただいていた太客の1人。私がS店へ移籍したのを機に、それはそれはAママをお気に入りに。そこで途中で担当譲渡し、Aママが担当になっていました。
ある日、出勤準備をしていたら、Hさんからものすごい剣幕で電話がかかってきました。
[st-kaiwa3]おまえ、Aに旦那がいるって知ってたのか![/st-kaiwa3]
聞けば、同伴の約束をしていたところ、当日になってAママからドタキャンされ、時間が空いたので出先のコンビニへ寄ったらAママが旦那さんと仲睦まじげに買物をしていた・・・とのこと。
それを聞いた瞬間、Aママは色でHさんを引っ張ってたんだな・・・と察し。
Hさんは女性が嫌がることは絶対にしませんが、モテていたい人でもあり、純粋でもあるので、Aママの「あなたのことが大好きだけど、今は仕事のことでいっぱいだから、お付き合いは待ってほしい」を真に受けていたようです。
もちろん私はママが結婚していることも知っていたし、何なら旦那以外の愛人がいることも知ってましたが、
[st-kaiwa1]プライベートのことはお互いに話さないし、話す時間も必要性もないから、誰のことも私は知らない。とりあえず話聞くから、お店においで。[/st-kaiwa1]
と何とかなだめて、その日仕事帰りにお店へ寄ってもらいました。
来店後も「担当外す!」と激怒は続く・・・
Hさんの怒りっぷりはすごかったです、ずっと「俺をだました」「許せない」とご立腹でした。Aママがお席にご挨拶に来ても、
[st-kaiwa3]来なくていい![/st-kaiwa3]
[st-kaiwa3 r]俺に話しかけるな![/st-kaiwa3]
[st-kaiwa3]もうおまえはいらん!担当は玲那に戻す![/st-kaiwa3]
[st-kaiwa3 r]俺の視界に入るな![/st-kaiwa3]
等々、ダイレクトに言うので、事情をまだ知らないAママは困惑。一緒についていたヘルプたちも、いつも優しくて楽しいHさんの剣幕にどうしていいか分からず戸惑って、引きつり笑い。
そんな中、私だけが悠長に考えていました。
今は怒ってるから担当外すだの何だの言っているけど、落ち着けばまた元さやに戻るだろう。Aママにも事情を説明すれば、自分で回収してフォローするだろう。私はHさんのご機嫌が直るまでフォロー役に徹してればいいや、と。
そしてお店が終わった後、Aママに経緯を説明しました。ママは「しまった、どうしよう」と頭を抱え、私はAママに「大丈夫ですよ、フォローします。1~2ヶ月で収まりますよ」と言い、実際にそうなると思っていました。
ところが、予想外の展開に。
「あの子は枕」の風評被害
Hさんは想像以上に怒っていて、本当にAママから私に担当を戻してしまいました。
Hさんは『Aママに旦那がいたこと』に怒っているわけではなく、独身のフリをして色を仕掛けてきたことに怒っていました。また、それを真に受けた自分も恥ずかしかったのだと思います。その分、怒り増長、みたいな^^;
怒り過ぎだろ・・・と思いながらも、Hさんの気持ちは分からなくもなかったです。自分が異性として気に入ってる相手から、本気のフリをして言い寄られたら、多くの人は勘違いしますよね。
それでもまだ「うーん、どうしたもんかなー。どうしたら収まるかなー」と悠長に考えながらも日々の雑務に追われていたある日、Hさんの部下であるTさんからこんなことを言われました。
「おまえ、枕やってるの?」
ある程度売れると『あいつは枕』みたいな噂がどこからともなく出てくるもので、そのときの私はあまり気にしていませんでした。枕できるタイプだったら苦労してないわーwwと笑い飛ばして終了。
ところが、それだけでは終わらなかった。
「おまえが枕だってママが言ってるよ」
Tさんはその後もしつこく「ほんとに枕やってない?」と事あるごとに聞いてきました。正直、ウザかったです(笑)そこで尋ねました。
[st-kaiwa1]なんでそんなに聞くのよ、誰が言ってんのそれ(笑)[/st-kaiwa1]
すると、Tさんの返答はこうでした。
ママが俺に電話してきたんだよ。Hさんがあんなことで担当替えまでするなんておかしい、玲那ちゃんが枕やって取ったとしか思えないって。俺だけじゃないよ、いろんな人に電話しておまえが枕やってるって言ってるよ。違うなら対処しないと、結構ヤバイと思うよ。
衝撃でしたね。色恋商法だったことは別として、仕事をするチームとしては信頼していたし、いろんなことを話し合ってきた仲だったので。私には何事もなく普段通り振る舞ってる裏で、そんなことしてたのか、と。
よくよく他のお客様方にリサーチをかけてみると、Tさんの言った通り、あちこちに『あの子は枕、私のお客様を寝取った』と吹聴して回っていることが分かりました。ご丁寧に、私の彼氏にも電話してましたね(笑)
幸いにも大半のお客様が「あいつに限ってありえない、絶対ない」と相手にしなかったので、売上が落ちることはありませんでした。中には噂を信用した人もいましたが、その程度の関係性だったんだな、と。
そこから約1ヶ月後、私はお店を辞めることになります。
「顧客を全部手放して移籍しろ」通達
いつも通りにお店で仕事をしていたある日、Aママが自分の携帯を差し出し、「オーナーが話があるって」と言ってきました。何事かと電話を変わると、一方的にこんな話をされました。
Aママから聞いたけど、あなた、Aママの顧客を寝取ったんだってね。そんなことする子をAママのもとには置いておけないし、Aママももう一緒に働けないって言ってるから、明日から本店(私がいたS店は姉妹店)で働いて。
は?と思いました、ほんとに。経緯も聞かずにAママの話だけを鵜呑みにしていることにも「は?」ですが、明日から本店移動って、2ヶ月先まで同伴も来店も予約があるのにどうするの?と。
本店とS店は客層も店内の雰囲気も全然違うので、S店を好むお客様は本店を嫌っていました。オーナーママに苦手意識を持つ人も多かった。なので、連れていくこともできません。
「お客様の予約があるのにそんな急なことできませんし、そもそも枕なんかしてません」と言ったら、軽々とこう言われました。
あなたの顧客は、全部Aママに引き継ぎなさい。あなたももう自分の売上ばっかり考えてないで、他の女の子たちに顧客を振り分けてもいい立場なんだし。とりあえず、明日から本店。枕する子にお客様は任せられないから。
ふ ざ け る な
ですよ。「だったら今この場で辞めます」と言って、本当に翌日から行きませんでした。
枕風評被害で私が思ったこと
その日、初めて私は泣きながら恋人に電話をしました。いろんなことが悔しかったです。Aママの吹聴自体も悔しかったですが、まあそれはいいです。お客様方が真に受けずに流してくださったので。
この件で私の心に刺さったのは、以下の2つ。
こんなにがんばって貢献した結果がこれ!?
お店を辞めるまでの間、私にできる最大限の努力はしました。もちろん、誰かに強要されたわけではなく、自分が決めて目指したものではあります。それは紛れもない事実。
それでも、こんなに寝る暇惜しんで朝から夜中まで働いて、売上出して、他の人ができずにいるムチ役や嫌われ役を担って、他の女性が起こしたトラブル処理にも駆けずり回って。
こんなにがんばってきたのに、最後にこれ?と思いました。
お客様をつかんで信頼を築くために、どれだけ苦労したか。それをいとも簡単に「全部Aママに引き継ぎなさい」って、どこの誰が「ハイわかりました」と言うと思ってんの!?と。
仮に本当に私が枕をやっていたとしても「はあ?」となるであろうことを、やってもいないことで顧客手放せって、誰が納得するの?と。
水商売の世界って何なの?
こんな筋の通らない話ある?
しょせんお店にとってはコマでしかないわけ?
いろんなことを思って、私は一体何のためにがんばったんだろう・・・と虚無感でした。そもそもの発端はAママが色を売って、嘘がバレたからだろ!?と、色ホステスに対する嫌悪感に拍車がかかりました(笑)
どんなにがんばっても変えられないのか・・・?
でも一番思ったことは「どんなにがんばっても何も変わらないんだ」ということでした。
私は中学生のときに祖母から違法風俗店に売られたり、ストレスが原因で失明状態に陥って働く場所に困ったときに働いた風俗店で集団レイプに遭ったり・・・という経験を持っています。そのとき警察に言われた言葉が、
「楽して稼ごうとするから罰が当たった」
「人数分お金もらえばよかったのに」
でした。被害届は受理されず。全部の感情を通り越して「あ、人間以下の存在ってこんな扱いなんだ」と冷静に思いました。その経験があったからこそ、そこに戻りたくなかったからこそ、人生を変えたくてがんばった。
でも結局私は、どんなにがんばってもそこから抜け出せないのか・・・と思いました。これが一番、落ち込みました。どれだけ真っ当に生きていきたいと思っても、どんなに努力しても、私はそういう目で見られるんだな、と。
お金は稼げたかもしれないけど、結局私は、売り飛ばされた13歳のころと何も変わってない、何も変えられてない。そんな現実を突きつけられたような気がして、本当に落ち込んだし、もぬけの殻みたいになりましたね。
泣きながら「結局私は何も変えられない、こんなにがんばったのに、何にも変わってない、色売って人を騙してる人のほうがまともなら、もうホステスなんかしたくない!」と恋人に八つ当たり(笑)
でもそのときに言われました。
分かってるよ。おまえはそんなこと(枕)するような女じゃない。100人中99人が分かってくれなくても、俺が分かってるからいいじゃないか。分かってくれる人は分かってくれる。よくがんばったな、もういい、帰ってこい。
恋人のこのセリフには、本当に救われました。この人が分かってくれるならもういい、誰にも理解されなくてもこの人が分かってくれたらもういい、と素直に思えました。
本当の意味で「周りにどう思われてもいい」と思えたのは、このときだと思います。13歳の私にはいなかった『分かってくれる人』の存在。私が最大に落ち込んだ瞬間でもあり、またひとつ強くなった出来事となりました。
その後、私は別のお店でママとして再スタートしました。このAママは私にとっていろんな意味で反面教師となり、多くの学びと気づきをくれたと思っています。今となっては、笑い話のひとつです。
まとめ
何が言いたいか、というと。
ナンバーワンは表向き、とても涼やかな顔をしているし、あまり本心で感情を見せることがありません。あなたがあこがれる売れっ子ホステスも、滅多なことでは取り乱したりしないでしょう。
でも裏ではいろんなことがあって、売れっ子だって毎日泣いたり落ち込んだり、私にはもう無理なんじゃないかと苦悩したり、傷ついて打ちのめされたりしているのです。未熟な自分に限界を感じることも、しょっちゅう。
表に出さないだけで、あなたと同じです。同じ人間ですから、ね。売れっ子ホステス=特別な人、ではないです。だから、自信持って。
そして、軽はずみに「あいつは枕」と吹聴する人たちには、自分の劣等感や嫉みから発せられる言動によってどれほど人を傷つけているか、自覚していただきたいです。無神経にも程があります。
仮に枕ホステスに寝取られたとしても、それだけの関係性しか築けなかったご自分を恨んでください。人を貶めることでしか保てないような、おちょこの裏レベルの器はご自身でご対処くださいますよう、切にお願い申し上げます。
長い文章に最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。何だか、夢も希望もないような話ですが(笑)いろんなことがあったけど、ホステス業は楽しかったし、やってよかったと思います。
あなたも毎日いろんなことがあって、泣いたり笑ったり落ち込んだりすると思います。それでもホステスという道を選んだなら「いい経験だったな」と将来の自分が思えるように、後悔のないように過ごしてくださいね。
ホステスの心得