ホステスにとって「バースデー」とは

ホステスにとって、バースデーはとても重要なイベントです。バースデーがどういうものだったかによって、そのホステスがどれだけお客様に支持されているかが分かるといっても過言ではありません。そこで本記事では、
- バースデーとはホステスにとってどういうものなのか
- 売れないホステスの間違った認識
- ホステス冥利に尽きるバースデー
について、体験談を交えながらお話ししたいと思います。
この記事の目次
セッションで話す「ホステスのバースデー」について
ホステスにとってバースデーというイベントは、いろんな意味で大変です。
売れないホステスからすればお客様を呼べるかどうか不安だし、どうやって数字を上げようかと頭を抱える日。お店からノルマを課せられて、クリアできるかと憂鬱になる日でもありますね。
売れっ子ホステスからすれば、お客様をどう回してさばくか、去年より数字が下がったらどうしよう、などで頭を抱える日。昨年以上の売上を期待され、実際に大きな経費を投入されるので、プレッシャーも尋常ではないです。
仕事意識の低いホステスからすれば、誕生日は休んで彼氏と過ごしたいとか、早く帰りたいとかで頭を抱える日(爆)中には彼氏と同伴し、彼氏がオーラスしてくれ、彼氏とアフターで早上がり・・・という人もいますね。
いろいろありますが、セッションではこんな話をします。
バースデー=1年間やってきたことの集大成の日
どうしたらバースデーにお客様を呼べるか。これはセッションでも必ず聞かれることですが、私の回答は大体決まってます。
[st-kaiwa1]直前になって小手先のテクニックで呼ぼうとしても、誰も来ないよ。バースデーは、あなたがこの1年やってきたことの結果が出る日。何を言っても来る人は来るし、来ない人は来ない。そういう日だよ。[/st-kaiwa1]
1年間やってきたことがお客様の心に届いていれば、その人達は何を言っても来てくれます。どんなにがんばったと豪語しても、何も届いていなければ、何を言っても来てくれません。
ホステスのバースデーとは、そういう日です。
お客様はバースデーを祝いに来るわけじゃない
お客様は、ホステスの誕生日を祝いに来るわけではありません。正直、どうでもいいんです。ホステスの誕生日なんか。
あなただって仕事だからお客様の誕生日を祝うのであって、純粋に祝ってあげたい!なんて思ってないでしょう。ホステスを引退した後も、変わらず贈り物を準備して食事してバースデーを祝いたい!なんて思っていないでしょう。
お客様にとってもホステスの誕生日なんて、そんなものです。それでも足を向けてくれるのは、
- ホステスにとってバースデーがどういう日か分かっているから
- それまで尽くしてもらって何かを返したいと思っているから
この2つがそろわないと、わざわざ時間とお金を割いてお祝いに駆け付けようなんて、誰も思いません。
いつも世話になってるから顔を立ててあげようとか、いつも気持ちをくれるからお祝いで返そうとか、そういう『気持ち』でお祝いに来てくださるのです。
だから、そういう心境になれるほどのことを日ごろ何もしていないホステスは、バースデーにお客様を呼ぶことはできません。
お客様のバースデーを祝ったから私のバースデーも祝ってくれる?
お客様のバースデーに贈物をしたら、自分のバースデーも祝ってもらえるか。これについても、残念ながらNOです。
仮にそういう人がいたとしたら、性格としてたまたま義理堅い人であったり借りを作りたくない人だった、という偶然の産物に過ぎません。その人がたまたま「返さないと居心地が悪い」という価値観だった、というだけ。
特に売れないホステスにとっては、お客様のバースデーに贈り物をしても返してもらえないケースが多いはずです。
それはそれで不義理な人だなあとは思いますが、やっぱりそれが自分のやってきたことの結果なんですよね。だって、大半のお客様にとって、ホステスからバースデープレゼントが届く=ただの営業ですよ。それが現実です。
営業でしょ、と思われる程度のことしかやっていない、ってことなんですよ。心が動くって「感動する」ってことなので、そこに感動がなければすべては営業レベルにとどまってしまいます。
ホステス冥利に尽きるな、と感じるバースデー
ここまではセッションで話すことですが、ここからは私の体験談交えて思うこと。これから『人として付き合って売れたい』と思っているホステスさんには、できれば受け取ってもらえたらいいなーと思う主観です。
お金がほしいだけ、自分が得できればいい、自己顕示欲が満たされないとヤダ!というホステスさんは、まったく共感できないと思います、ごめんなさい(笑)
シャンパンタワーとか抜き物何本出たとか売上いくらだったとか
キャバ嬢さんは、シャンパンタワーや抜き物のボトルをズラッと並べて撮影したりしますよね。
もちろん、あれだけの抜き物を出せるキャストさんはすごいことだし、賛美に値することなんですよ。本当に普段からがんばってるだろうことは重々分かるし、お客様の気持ちが形になったものですね。
そして売れないキャストさんからすると、そういう華やかさだけが見えて、いいなーって思うのも分かります。夢があるし、キャストやってるからには一度はそんな経験してみたいだろうし、実際華やかですしね。
ただ私は全然うらやましくないというか、そんな『写真に写してしまえるもの』にあまり重きを感じないというか。
多分ね、ズラッと抜き物に囲まれて撮影してる本人も、本当に幸せだと感じるのはそういうところじゃないと思うんです。
数値化&視覚化できないところにこそ喜びがたくさんある
私もバースデーはたくさんのお客様に祝っていただいたし、数字も抜き物もお花も、それはそれはありがたいほどいただきました。でも嬉しかったのはそこじゃなくて、そのプロセスというか。
- わざわざお祝いのためだけに飛行機に乗って駆けつけてくれた
- 捨てると分かりきってるシャンパンを抜いてくれた
- 10分も経たないのに次のお客様に席を譲ってくれた
- イベント大嫌いなのに祝儀袋を渡すためだけに立ち寄ってくれた
- おまえの誕生日なのに行かないわけにはいかないだろ、と言ってくれた
- 会議や接待があったのに、早く切り上げたり抜けたりしてまで駆けつけてくれた
そういうお客様の気持ちが本当に嬉しかったんですよね。こういうのってホステスじゃなかったら絶対に経験できないことだな、って思うんですよ。
その喜びに比べれば、抜き物が何本出たとか、お花がどれだけ出たかとか、そんなことは本当に小さいというか。あくまでもお客様の気持ちが視覚化・数値化したものであって、それ以上でもそれ以下でもないというか。
もちろん仕事だから数字的なことは重要だし、それも本当にありがたいんですよ。でも売上自体が嬉しいわけじゃないんですよね。
行ってあげなきゃ!と思ってくれた気持ちが嬉しかったり、そう思ってもらえる仕事を1年やってこれたんだな、と実感できることが嬉しかったり、協力してくれるスタッフに恵まれたことが嬉しかったりするんです。
引退後に知ったお客様の「バースデー」への思い
現役時代は上記のようなことを私はとても幸せに思っていたんですが、引退後、あるお客様にこんなことを言われました。
[st-kaiwa3]おまえにとって誕生日って、嫌な思い出しかなかったと思うんだよね。俺らには分からない思いをいっぱいしてきただろうし、ある意味天涯孤独の身だし。
だから「誕生日っていいものだな」って思ってもらいたかったんだ。生まれてきてよかったな、って思える日に変えてやりたかったんだよ。
だから何があっても絶対に行かなきゃ、って思ってた。[/st-kaiwa3]
そんなふうに思ってくれてたんだと思うと本当にありがたかったですね。ホステスとしてじゃなく、いろんなものを背負っていきていた個人の私を見てくれてたんだなと。事実、私は自分の誕生日を、
[st-kaiwa1]何がめでたいんだ、人生最悪の日じゃないか、生まれなかったらこんな苦痛も味わうことなく済んだのに![/st-kaiwa1]
って恨み節で毎年過ごしていた、かわいくない子だったので(笑)おめでとうと言われても全然嬉しくなかったし、親にも祝ってもらったことのないバースデーを赤の他人が祝う、ということも理解できないでいたので。
でも、お客様にお祝いしていただく中で、そういう気持ちが消えていったのは確かです。私が歳を重ねて成長していくことを楽しみにしてくれている人がいる、というのは、私にとって生きる励みになりました。
何千本の抜き物、何千万の売上より、こういうお客様と出会えたことのほうが何百倍も幸せだな、と私は思ったんですよね。同時に、そう思える自分になれたことも嬉しかったです。
ホステスじゃなかったら絶対にこんな関係性は築けなかっただろうな、と思います。それをただの数字で見てしまうのは、すごくもったいない。
数字ではないところにも目を向けられるホステスに
数字ばかりに意識が向いてしまいがちですが、
この仕事をやってて良かったな
そう思えるバースデーを迎えられるホステスさんが増えるといいなあ、と思います。結果的にそれが数字にも繋がると思うし、仕事にもやりがいが出て楽しいと思うんですよね。
実際、数字ばかり見て仕事をするって、つまらないじゃないですか。下がってもストレスしかないし、上がっても一瞬の安心しかないし、人をお金としか思えなくなって心も殺伐とするし、売上=自分の存在価値になっちゃうし。
それに、商売って何でも『どれだけお客様の役に立てるか』が売上になってくるのも事実ですよね。価値がない、必要ない、価値や必要性が分からないってなれば、誰も買いませんから。あなたもそうですよね。
だったらお客様も同じなんですよ。お客様のために何ができるか。これを考えて実行して、1年かけて自分の価値や必要性を知ってもらう。その結果がバースデーなので、付け焼刃の営業では呼べないのです。
付け焼刃や小手先の営業で呼べたとしても、その見返りを求められる。せっかくのバースデーにそんな思い、したくないですよね。
あなたも次のバースデーは、素敵なお客様に囲まれて幸せ!と思えるバースデーになるよう、今この瞬間できることをがんばってください。面倒くさいと放置しているもの、見ないふりをしている問題、いろいろあるはずです。
ホステスの心得