心が通じ合う関係を築くコツは?共感と安心を育む自己開示術
こんにちは。ホステス専門コンサルタントの秋好玲那です。→目次はこちら^^
お客様との信頼関係を築くには、
- 共感
- 安心
- 自己開示
の3つのキーワードが重要になります。
人は、ひとりで考え続けていると不安や恐怖を抱きやすい生き物なので、お互いに共感できることが多いと、安心を得られます。
安心を得られると、自己開示もしやすくなります。共感や安心を高めるには、自己開示が役立ちます。
このように、『共感』『安心』『自己開示』は、丸い円のようにつながっているのですね。
そのバランスが保たれていると、信頼関係を築きやすくなります。・・・と、頭で分かっていてもなかなか実践はむずかしい、というところですよね。
そこで今回は、
- 共感を上げる自己開示/共感を下げる自己開示
- 安心を高める共感/不安や不快を高める共感
- 適切な自己開示/不要な自己開示
について解説します。
この記事の目次
共感を上げる自己開示/共感を下げる自己開示
共感とは、相手が感じていること・相手が考えていることを、ともに感じることです。言い換えれば、相手の気持ちや考えに同感することを言います。
たとえば「俺は心無い人間がきらいだ」という会話をしているとして。
- 共感→(自分もその通りだと思っている)分かります。
- 受容→(自分がどう思うかはさておき)そうなんですね。
- 同調→(自分は違う意見だけど)そうですよね。
カンタンにいうと、この違いがあります。素の自分に近いところで人と対峙していると、2か3の対処が増えていくことになります。
下手をすると、本当は1なのに、2の返事をしてしまうホステスさんもいます。
どれが悪いというわけではないですが、共感を示すのであれば、2と3はやはり弱いと言えますよね。
共感を上げる自己開示
では、どうしたら共感度が上がるのでしょうか。それはずばり、自己開示をすることです。
先述したように、『共感』『安心』『自己開示』は円のようにつながっているので、自己開示をすることで『安心』を得られます。
この『安心』を生み出すには、2つの自己開示法があります。
ひとつは、代理言語化(相手が思っているであろう気持ちを、あなたが代理で言語化する方法)です。
「心無い人間がきらい」でも、『なぜきらいなのか』には、人それぞれいろんな理由があります。
- 過去にそういう人から傷つけられた
- 特に何かあったわけではないけれど見ていて不快
- 自分がそう育てられた
などなど。過去の会話やお客様の性格・価値観などからこれらを推測して、
と、自分が予測したことを言葉にする方法です。仮に『相手に傷つき体験があるのではないか』と思ったなら、
といった言い方をすることもあります。これができると、自分がまったく同じ考えではなかったとしても、共感を生み出すことができます。
ただし、こちらは上級編なので、最初はむずかしく感じますよね。
そこで、もうひとつの方法として、純粋な自己開示(自分の経験や自分の考えを言語化する方法)があります。
こちらは、あなたの経験や考え・価値観をオープンにすることなので、代理言語化よりもグッとハードルは低くなると思います。
仮にあなたが「心無い人に傷つけられて悲しかった」という経験を持っているなら、それをそのまま言葉にすればいいだけです。
というように。
共感を下げる自己開示
共感を下げる自己開示は、
- 話し過ぎること
- 言葉足らずになること
です。自分は共感しているつもりでも、この2つをやってしまうと、相手は『共感してもらえた』とは感じにくくなります。
依存体質の人は、話し過ぎる傾向にあります。
相手の考えや世界観に共感するよりも、『自分の考えや世界観を分かってほしい!』が勝るので、余計なことをベラベラしゃべってしまうのですね。
たとえば、前述の例でいうと、
どうです、読むだけで「うへえ」ってなりませんか?
これを感情込めてまくしたてられると、相手は話を奪われたような気持ちになる上に、あなたに共感を示してあげないといけなくなるんですよね。
一方、言葉足らずになってしまう人は、デフォルトが受け身姿勢の傾向にあります。
本心では「わかるー!私も経験ある、悲しいよね!」と思っているにもかかわらず、実際に発する言葉は、
この一言のみ。そして、その一言で相手が引き続きしゃべってくれる前提ですよね。
これでは相手は『わかってもらえた』とは思えず、ただの相槌レベルになってしまいます。この状態では、共感度が下がってしまうので要注意です。
安心を高める共感/不安や不快を高める共感
先にも書いたように、人は、ひとりで考え続けていると不安や恐怖を抱く生き物です。
これは脳に備わっている防衛本能で、だれでもあたりまえに起こる症状。メンタルが弱いとか強いとかは、一切関係ありません。
人間は群れる動物なので、どこかに自分が属していないと不安になります。
考え方や価値観も同じで、『人と違うこと、自分だけがそれを体験・体感しているのではないか?』ということに不安を抱き、恐れるのが人間です。
こう考えると、安心の正体も分かってきますね。「あなただけではないよ、私も同じだよ」というメッセージが伝わることで、人は安心を得られます。
ここでは、私の実体験をもとに解説していきますね。
安心を高める共感
コンサル生ならよくご存じの、私の相方についてです。
彼はアセクシャル(恋愛感情がない/わからない)で、Xジェンダー(性自認が男性でも女性でもない)です。
性自認は無性。身体に触れられることを極端に嫌いで、性行為にも興味がなく、性交渉をしても何も感じない人なのですが、
- 恋愛感情がない・わからない自分をだれかに理解してもらえたことがない
- パートナーに正直に話しても「そんなウソまでついて私を避けるの?」と責められてきた
- 「自分は人を愛せないのか」とずっとひとりで悩んできた
という経験を持っていました。それに対して私は、
と言いました。共感を示すだけなら、これで十分だったと思います。でも私は、これでは不十分だと思いました。
なぜなら、彼の『誰にも理解してもらえない』というトラウマは根深く、この程度では「わかってもらえた」とは感じられないのでは?と思ったからです。
そこで、じっくり彼と話しました。何時間もかけて、私の経験も開示しました。
私に人身売買された経験があること、そのとき受けたショック。その後集団レイプに遭ったこと。それらの傷がいまも色濃く残っていること。その上で、
と伝えました。彼はずっと黙って聴いていましたが、最後にこう言ってくれました。
自分が秋好さんを理解できたとは思わないし、それはおこがましいけど、自分の気持ちをわかってもらえたって思いました。
ずっと、だれにも理解されなかったので・・・。やっとわかってくれる人と出会えました。
これによって、彼は私を『理解されないマイノリティ側の苦しみを分かってくれる仲間』と認識してくれるようになりました。
同時に「いままでずっとひとりで抱えてきたものを、この人となら共有できる」と思ってくれたようです。
つまり「自分だけじゃなかった」「形は違えど、同じ気持ちを抱いてる人がいる」と安心を得たわけですね。
一番不安だった部分に共感してもらえた結果手にした安心は、信頼度も同じ強さで築けます。
不安や不快を高める共感
相方がアセクシャル&Xジェンダーだと私が気付く前は、失敗の連続でした。
彼が何か根深いものを抱えているのはわかっていましたが、それが何なのかがわからなかったのですね。
彼もまた、最初は私に対して信頼も低かったと思うので、警戒しつつも様子を見ながら話していたと思います。
ただ、彼の言葉の端々から「この人は人を愛せるようになりたいんじゃないかな」と、日を追うごとに感じるようになりました。
そうしたいけど、そうできない何かがあるんじゃないかな?と。
それ自体は間違ってなかったのですが、私が失敗したのは、彼を『自分と同じノーマルセクシャリティ』として捉えていたこと。
いわゆる『性欲も正常にあって、一般的な男女の恋愛ができる人』という前提でいたんです。そのため、しばらくこんな話をしていました。
いまこうして活字にすると、
- そこじゃない!!
- そもそもなんで『一般的な恋愛ができる前提』で話してんの?
- その感情がなくて苦しんでるのに見当はずれすぎる!!
・・・と、自分の頭を殴りたくなります。
そして、ある日「相方はアセクシャル&Xジェンダーだ!」と気づいたとき、これまでの自分の言動を心の底から悔やみ、猛省しました。
本当に申し訳ないことをした、と。
彼はきっと、私の言葉を聞きながら「やっぱり自分は普通じゃないんだな」という気持ちが強まるだけで、傷ついていたと思います。
間違っても「わかってもらえている」「理解してもらえている」とは思えなかったでしょう。
このように、自分の世界観を前提にしてしまうと、共感を示しているつもりが逆に相手の不安を煽ってしまい、安心を揺るがすことになります。
適切な自己開示/不要な自己開示
さて、ここまでを読んで、もうおわかりかと思います。適切な自己開示とは、
- 適度な言語化を心がける
- 相手の世界観を尊重する
- 相手の世界観に沿った自己開示を行う
ということです。一方で、不要な自己開示とは、
- 話を奪って自分の話題にしてしまうほど、話し過ぎる
- 相手が相づちと間違えるほど、言葉足らずの返事をする
- 自分の世界観や先入観のまま話す
信頼関係をなかなか築けない人は『不要な自己開示が多い状態』がデフォルトになっています。
中でも失敗しやすいのは、先の私の失敗談のように、自分の世界観のまま、相手の話を聞いて、言語化していくことですね。
自分に恋愛感情があるから、目の前にいる人も同じように恋愛感情がある。そんな世界観で話していると、何を言っても相手を傷つけてしまいますよね。
相手の気持ちに寄り添うというのは、相手の世界観で話すことだと思います。
それを意識していても、失敗することがある。もし意識すらしていなければ、知らず知らずのうちに相手の安心を奪うことになります。
それでは、信頼関係を築くのはむずかしいですよね。そのためにも、
- 自分の世界観を開示できること
- 相手の世界観を尊重できること
- その上で共感できること
が重要ではないでしょうか。
まとめ
最後に余談ですが、相方から「すぐに切れてしまうような男女の関係は嫌だ。人として愛してほしい」と言われたことがあります。
その数日後に、私は彼がアセクシャルだと気付いて、こう言いました。
すると、相方はとても嬉しそうに「そうですよね・・・愛情は深いと思います」と笑っていました。
『等身大の自分』を理解して、愛してくれる人の存在をずっと求めてたんだろうな・・・と、私は少し切なくなりました。
最初は失敗しましたが、その失敗で私があきらめることなく、彼を理解しようとした結果、いま彼は安心して私との時間を過ごせているのだろうとも思います。
間違えたら、素直に謝ればいい。
私は彼に「あなたのことを全然わかってなかった、いろいろ傷つけてごめんね、いやな思いさせたね」と伝えました。これも自己開示。
間違いを必要以上に恐れると、自己開示できなくなっていきます。
そう考えると、まずはあなたが『間違えても大丈夫』と安心していられているかが重要ですね。
ホステスの心得