精神的にまいっているお客様にどう接すればいい?
こんにちは。ホステス専門コンサルタントの秋好玲那です。→目次はこちら^^
数ヶ月前に、仕事上のトラブルが発生して、今も引き続いているお客様がいます。かなり精神的にもお疲れのようです。それ以来、お会いしていません。
所属組織の会合には顔を出しているようなのですが、飲みにいくことはほとんどないようです。
トラブルが長引くと精神的にもどんどんきつくなると思うととても心配です。
私がこの方のためにしてあげられることは何があるかなと考えてみたのですが、お茶やご飯にお誘いしてもむずかしく、
「いつでも話を聞くよ」
しか思いつきません。放っておいてほしいのかも。玲那さんだったら、どのように接しますか?
ご質問ありがとうございます。こういったナイーブな問題は、
- だれの視点で解決したいのか
- お客様の様子はどうか
上記の2点で考え、結論を出すといいです。ひとつずつ、詳しく解説していきますね。
だれの視点で解決したいのか
まず、「だれの視点で解決したいのか」を考えます。なぜなら、スタートの視点を間違えると、結果も変わってしまうからです。
多くのホステスさんは、「お客様のこと」を思って、いろいろ考えるはずです。それは間違いありません。
でも、もっと深いところを覗いてみてください。
あなたが安心したいから、何とかしたい
ではないですか?
私が、元気のないお客様を見ているのがつらい。私が、心配で落ち着かない・・・などなど、『私』が軸ではないでしょうか。
その問題はだれの問題?
それが『悪い』と言っているのではありません。その気持ちはとてもわかるし、大切なお客様であれば、そういう感情が湧くのは当然です。
でも、絶対に、間違えないでください。
その問題は、お客様の問題であって、あなたの問題ではありません。
お客様の問題は、お客様自身が解決しなければなりません。あなたが代わってあげることはできないし、代わってあげてはいけません。
あなたには、なにもできません。
「お客様のために何ができるか、常に考えましょう」と常々言っている私が言うと、矛盾して聞こえるかもしれませんね。
でも、『私にできることは何か』を考えるときには、必ず『私にできないことは何か』もセットで考えなければなりません。
大切なお客様のつらそうな姿を見るのは、苦しいものです。でも、私たちにできることは限られるし、その問題は、お客様の問題です。
まず、そこに境界線を引きましょう。
お客様の問題を背負ってしまうと、あなた自身もしんどくなるし、そのしんどさが負担になって、何とか軽減しようと無意識に行動し始めます。
さらには、その結果として、かえってお客様を追い詰める可能性があるのです。
心配が相手を追い詰める
たとえば、
- 大丈夫?
- 心配してるよ
- 元気出してね
- 私にできることがあったら言ってね
- 話くらいならいつでも聴くよ
- 身体壊したりしてない?
ということを、何度もくり返したり、近いようなことを連発したり、といったことをしていないでしょうか。
もしそうであるなら、それは単純に『自分が安心したいから』という心理が強く働いた結果です。「大丈夫だよ、ありがとう」と言われて、自分が安心したい。
でも、考えてみてください。
「大丈夫?」と聞かれて、「大丈夫じゃない、助けて」と言える人って、どれくらいいるでしょうか。
ちっとも大丈夫じゃないのに、「大丈夫」「ありがとう」と言わされる。これって、ただでさえ苦しいときには本当につらいことだと思うのです。
そうなると、あなたには会いたくない、あなたとは話したくない、となってしまうのではないでしょうか。
お客様の様子
トラブル続きでまいっているのは、お客様の問題。それを見て、「つらそうだな、私に何かできないかな」と心配になるのは、あなたの問題。
・・・という境界線をビシッと引いた上で、お客様の様子に合わせて、具体的な対処法を考えていきましょう。
その前に、『一般的な男性のトラブル時の心理傾向』を知りたい場合は、
を参考にしてくださいね。
ほとんど何も語らない
お客様が何も語らないのであれば、それは「そっとしておいてほしい」という合図かもしれません。
『頭の中にあることを言葉にする』という作業は、想像以上に膨大な労力を要します。だからこそ、
- 疲れているから何も話したくない
- わかってくれない人とは話したくない
といった心理になりやすいのです。
このお客様は、トラブル続きで精神的にまいっているとのことなので、心身ともにかなり疲弊している可能性が高いですよね。
もしかしたら、自分の気持ちや考えを言葉にするパワーさえ、ないかもしれません。だったら、少しそっとしておいてあげましょう。
2~3週間おきくらいの頻度で連絡をして、2~3分でも気分転換になるような会話(仕事以外の話)を心がけるといいです。
どうしても何かを聞きたいなら、「大丈夫?」以外の言葉を使うようにしましょう。たとえば、
- 夜は眠れてる?
- 食事してる?
- 最近は朝早いの?
などを聞くと、状況を知る手掛かりになります。また、「大丈夫じゃない」とは言えなくても、
「あんまり眠れない」
「食欲がない」
「朝起きるのがしんどい」
という会話は、相手に話をさせる上で心理的ハードルが下がり、話しやすくなります。
仮にもし「食欲がない」と言われたら、食欲がないときでも食べられるような食品や、栄養価の高いサプリなどを贈ることもできますよね。
少しでも話してくれる
お客様が少しでも何か話してくれるのであれば、徹底的に聴きましょう。その際に注意したいのは、
- 〇〇したほうがいいよ
- それは〇〇さんが悪いよ
というアドバイスやジャッジをしないことです。仮に、お客様自身が「俺が悪いのかな」と言ったとしても、良い・悪いのジャッジは控えましょう。
こちらが心がけるのは、共感と代理言語化です。
だれかの気持ちを軽くしたい、と思ったときには、『共感』と『代理言語化』を活用するといいでしょう。
あなたには、お客様の問題を解決できるような具体的な方法を提示することはできないかもしれません。
でも、お客様に寄り添い、共感し、お客様が言えない気持ちを代わりに言葉にすることは、できるはずです。そのためにも、
「いま、どんな気持ちかな」
とお客様を観察し、想像することをくり返して、心の奥にある本心を言葉にできるように、会話をリードしてあげましょう。
まとめ
- だれの問題か、境界線を引く
- 語らないときはそっとしておく
- 共感&代理言語化で本心に導く
「お客様のために、何かしたい」その気持ちは、とてもすばらしいですよね。
お客様の心を軽くするには、あなた自身がいつも心をフラットに、「大丈夫、どんな話でも受け入れるよ」という姿勢を保っていることも重要です。
その上で、共感と代理言語化というスキルを使えると、格段にお客様の心は軽くなりますよ。
「共感はできるけど、代理言語化がむずかしい・・・」
と感じる場合は、まず自分の気持ちを言語化する練習から始めてみてください。毎日日記をつけるだけでも、スキルアップしますよ!
ホステスの心得